実はHTTPSは速い!次世代プロトコル”HTTP/2″でサイト表示が高速化

[目次]

Webサイト全体をHTTPS化する常時SSLの必要性はわかっていても、メリットがいまいちわからないという方も多いはず。
ここでは、そういう方のために常時SSLのメリットについて、ポイントをしぼって説明します。

今回はWebサイトの表示速度「レスポンス速度」です。

少し前まで「HTTPSサイトは遅い!」と言われていました。

それは、HTTPSで暗号化通信すると、サーバーとクライアント双方に多少なりとも負荷がかかるため、サイトの読み込みに時間がかかると言われてきたことによります。
(これが本当なら、常時SSLなんてとてもじゃないけどおすすめできないのですが・・・。)

しかし現状は、インターネットを取り巻くあらゆる機器や環境が進化しスペックアップしているので、HTTPでもHTTPSでも、レスポンス速度に大きな差はありませんし、目に見えてパフォーマンスが落ちるということはなくなってきています。

むしろこれからの時代はHTTPSのほうが速くなります。

「レスポンス速度」って?

Webディレクターとしてサイト制作時に気にするポイントの一つに「レスポンス速度」があります。
Webサイトを表示したときに、ページが表示される速度ですね。

レスポンス速度といえば、私も以下の記事を見てびっくりしたのを覚えています。
具体的な数字でみると、急に不安になりますよね。

サイト表示が2秒遅いだけで直帰率は50%増加!

操作開始時間が1秒のサイトと3秒のサイトを比較しても、3秒のサイトは1秒のサイトに比べ、ページビューが22%低下、コンバージョン率は38%低下、直帰率は50%上昇してしまう

Web担当者Forum」より抜粋

コンバージョン率に直接影響を及ぼすのであれば、Webディレクターにとってレスポンス速度はかなり気になるポイントです。

では、このレスポンス速度が上がるとしたら?もちろん見過ごすわけにはいきません。

HTTPSサイトはレスポンス速度が速い

冒頭にも書きましたが、これからの時代はHTTPよりHTTPSのほうが早くなります。

それは、次世代プロトコル「HTTP/2(エイチティーティーピーツー)」が登場したからです。

HTTP/2は、従来のHTTP/1.1で直面していたパフォーマンスの悪さを解決するため、レスポンス速度向上の取り組みとして開発されたWeb高速化プロトコルです。

では、実際どれくらい速くなるのか・・・ですが、下記のサイトにアクセスすると通信速度が測定され、HTTPとHTTPSの場合、HTTP/2ではどれくらい速く表示されるのか体感できます。

HTTP vs HTTPS Test

また、HTTP/2ですが、HTTP(非暗号化通信)も規格上では含まれているのですが、多くのWebブラウザベンダーでは「HTTP/2はHTTPS(暗号化通信)だけを対応する」と表明しています。

つまり、「HTTP/2の高速化の恩恵を受けられるのはHTTPSだけですよ。」ということです。

ではなぜ、HTTP/2だとレスポンス速度が速くなるのでしょうか。
大きなポイントとして2つ紹介します。

HTTP/2が高速な理由(1) HTTPヘッダーを圧縮

まず、ひとつめのポイントはやり取りするデータ自体が小さくなったことです。

従来のHTTP/1.1はCSSやJSなどのテキストファイルを圧縮して送っていましたが、HTTP/2ではテキストファイルに加え、HTTPヘッダー情報(ブラウザの種類、OS、Cookieなど)も圧縮して送ることができるようになり、さらにはバイナリデータにして容量を減らすことが可能になりました。

なにより大きなポイントは、同じHTTPヘッダー情報を何度も送信するのではなく、新しく送信が必要な差分データだけを送信する点です。

多くのWebサイトでは、様々な内容がHTTPヘッダー情報として設定されているので、この情報を圧縮してさらに最低限のデータだけをやり取りするので、通信量が減りレスポンスが速くなるのです。

高速化も納得ですね。

(図1)HTTPの圧縮イメージ

HTTP/2が高速な理由(2) 接続を多重化

高速化のもう一つのポイントは接続が多重化されたことにあります。

HTTP/1.1では1つの接続でリクエストとレスポンスを1つずつしか同時に送受信できないことが制限となり、通信データが多くなると、その分やり取りの回数が増えてレスポンス速度が遅くなっていました。

さらに、セッション数の制限があるため同時に接続できるセッション数を超えて接続することはできませんでした。

この問題を解消するため、HTTP/2では1つの接続を多重化して複数のリクエストを処理する仕組みが導入されています。

(図2)接続の多重化イメージ

このようにHTTP/2を利用すると、レスポンス速度の向上にかなり有利になりそうです。
今後、HTTP/2に対応するときのためにも、早いうちから常時SSLの準備を始めておきましょう。

実際、常時SSLに対応するとなると準備から気をつけるべき点がたくさんあります。
他の常時SSLラボの記事も参考に早めの準備をおすすめします。

常時SSL対応の準備~作業~仕上げまでの流れを把握する実践編

この記事のポイント

  • 「HTTPSは遅い!」という時代は終わった
  • 高速化のための次世代プロトコルHTTP/2が注目を集めている
  • HTTP/2対応を視野にいれて、常時SSLの準備を始めましょう

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